インタビュー

INTERVIEW
2018.12.03

「分からないことは分かる人に聞け」をモットーに

株式会社ニッソーネット 山下吾一社長
「分からないことは分かる人に聞け」をモットーに

社長の信条

強みがないことを自覚する

姉が介護の仕事をしている関係で介護に興味をもち、御社にインタビューをお願いしました。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
ひとつ目の質問ですが、社長ご自身の強みと、それをどう生かされているかをお伺いできますでしょうか?

山下社長

強みがないのが強みなのかな、と自分では思っています。僕はトップセールスだったわけでもなく、お金の計算が上手にできるわけでもありません。でもそういうところに自覚があるというところは強みなのかなと。

僕にはいくつかの信条、行動指針みたいなものがあって、そのうちのひとつが「分からないことは分かる人に聞け」というもの。これをモットーにしているんです。

なぜそう思われるようになったんですか?

山下社長

分からないことがあったとき一から勉強して解決する手段もあると思いますが、たいていの場合、僕が考えて勉強するのに時間を取られるよりは知っている人に教えを乞うた方が早いんです。だから基本的にそうしています。

それは管理者としてその方がいいということでしょうか?

山下社長

いや、僕は若い頃からそうです。要は楽をしたいんですよ(笑)。いかに楽をして最大限のパフォーマンスを発揮するか、それを若い頃、営業時代からしていました。もちろん本なども読みますが、詳しい人、詳しい人を知っている人に聞きに行く方が得るものが大きい。

僕はそんなに能力の高い人間じゃないですが、そこで塞ぎ込んでいても前へ進めない。進むためには能力のある人に教えてもらえばいい。ひとりで悩んでいる時間がもったいないし、それで正しい答えが導き出されるとは限らないでしょ。

だから「強みは?」って聞かれるとあまりないけど、それをカバーするためにいろんな人との関わり合いを持つようにはしています。

ありがとうございます。次に、これまでに未然に防げたなと思う失敗はありますか?

山下社長

未然に防げた失敗というのは、僕は基本的にはないと思っています。失敗を恐れるよりも、失敗したときにどうしたらいいかを考える方が大事かなぁと。何か新しい取り組みを始めるなら当然、リサーチして仮説も立てます。でもそこで失敗を防ぐことばかりを考えていると前に進めない。そんなことはどうでもよくて、体制に影響がない程度の取り組みに対しては準備をしつつ失敗は恐れないし、失敗しても構わない。大事なのはそれをどう教訓として次につなげるかです。もしかしたら「もともと無理だったよね」という答えがでるかもしれない。いずれにしても課題は残るので、次にそれをクリアするにはどうしたらいいかを考えればいいんです。

失敗はいっぱいあるんですよ。だから原因を突き詰めることはしてきたけど「防ぐ」という発想はしていません。やってみて気づくこともあるから。そこを改善する、その繰り返しです。

なるほど。

山下社長

日本人って計画を立てるのが大好き。それで計画倒れする。逆に欧米ってずさんな計画で進めて効果検証するところにものすごい時間をかけます。そうしないとスピードがでないんですよね。ビジネスはスピード感を求められますから。 僕がサラリーマンになったのはやっと中小企業にもパソコンが普及した時代。メールもなかった。劇的に仕事の仕方が変わった時代でいちいち気にする時間がなかった、ということもありますね。

社長としての解

目標よりお手本となる人をもつ

社長が目標とする経営者はいますか?

山下社長

とくにいません。ただ手本というか参考にしている経営者さんは数人いらっしゃいます。たとえば楽天の三木谷さんであったり、サイバーエージェントの藤田さんであったり。彼らの本は読んでいます。この会社を任されて10年になりますが、ちょうどその頃一番勢いがあった人たちですね。

どういったところを参考にされているんでしょうか?

山下社長

スピードです。あとは自分がこうしたいと思ったことを諦めないところです。

2代目としての心得

ありがとうございます。次に、社長として意識している行動、考え方はありますか?

山下社長

僕はあまり社長っぽくないって言われるんですが、実際に一般的な経営者、社長にならないように気をつけています。

どうしてですか?

山下社長

このインタビューの趣旨とずれてしまうかもしれませんが———僕は2代目で先代と何年か仕事をさせてもらった上でやっていますが、創業者ってものすごくパワフル。「みんな自分の思い通りに動くのだ!」みたいな感じだったんです。でも僕が同じようにできるかと言えばできないんですよ。創業者のカリスマ性みたいなものも僕にはない。それを変に作ろうと威張ったりトップダウンをやろうとすると「殿ご乱心」となるわけですよ(笑)。

難しいですね。

山下社長

そう。実質的にこの会社を任される立場になったとき「2代目」と書かれてある本はアマゾンですべて買って読みました。それで2代目はどうあるべきか、立ち位置、振る舞いについて僕なりの解を見つけたんです。

どんな答えを見つけられたんですか?

山下社長

要は失敗している人たちのことがいっぱい書いてあるんです、2代目の本って。だからその人たちがやったことをやらなければいい(笑)。

会社を潰す原因やパターンは2つか3つ。本業を疎かにして自分の関心の高いものに主軸を移していく。これは投資ばかり先行して身にならないわけです。あとは先代と同じような振る舞い方をしようとする。経営者として認められようという思いが強くなるとそういう立ち居振る舞いが出てしまう。創業経営者の場合はそれでいいんです。でも2代目、3代目はみんなとできるだけ近い目線でものを考えるようにしなければいけないと思います。

新しい技術と向き合う

ありがとうございます。次は僕が興味をもっている分野なのですが、VRや人工知能についてどう思われるかお伺いしたいです。

山下社長

VRは分からないけど人工知能に関しては今後、特に人材ビジネスにおいては活用が見込まれるだろうと思うし、興味を持っています。仕事の中にどんどん活用していきたい。今後どうやって実務に落とし込んでいくのかを考えていかなきゃいけないと思います。 冒頭で言ったように詳しい人にお話を聞きに行ったりはしていますが、今やった方がいいのかもう少し後の方がいいのかは考えるところですね。

それ以外にはAIをどう使っていくおつもりでしょうか?

山下社長

AIに一番期待しているところは、求職者と仕事のマッチング部分です。どういう企業に勤めたいかって人それぞれ条件が違っていますし探している企業もどういう人が欲しいかは千差万別。今はそこをいわゆる職人技みたいな感じでやっていますが、それをコンピュータでやってもらえると非常に生産性が上がるし、ひょっとしたら人間より精度の高いマッチングができるかもしれないと思っています。

求められる人材

企業の最大の投資

続いて、今御社が抱えている課題はありますか?

山下社長

いくつかありますが、ひとつは人の採用です。弊社の派遣スタッフの採用もそうですし、うちの会社で正社員で働いてもらう仕事を探してくれる新卒や中途の採用も難しい。課題が非常に大きいなぁというところは正直あります。

なぜそういう課題があると思われますか?

山下社長

それは当然、少子高齢化で労働人口が減ってきているからですね。景気がよくなっているらしいから求人も時給も増えている。転職活動している人以外は何かしらの仕事についている状況の中で人の奪い合いをしているわけです。

山下社長が求められるのはどのような人材でしょう。

山下社長

僕がいちばん重視しているのは、ニッソーネットで働きたいという明確な理由を持っている人ですね。あとは行動力があってコミュニケーション能力があって、論理的にものを考えられる人、ってなりますね。全部できる人はなかなかいませんけどね。

僕も就職活動していたのでよく分かります。

山下社長

みんなだいたい同じことを言われるはず。ただ「採用する側から見てみるとどうか」という視点が大事で、結局のところ、30分くらい面接したって分からないんですよ。人材ビジネスを15年やっている僕が言うんだから間違いない。だから企業は適正テストなんかをするわけです。

僕は、会社にとって採用は最大の投資でありコストであると思っています。矛盾するけどね。だから最終的にどういう判断をするかというと「この子とだったら一緒に仕事をしたいな」と思うかどうかだし、面接を受ける側も「この人たちと仕事をしたい」と思えるかどうかを基準にしてほしい。そういうのは就活本には書いてない(笑)。

書いてなかったですね(笑)

山下社長

人間って得手不得手がある。うちは営業会社なので営業というものを知っておかないとどんなセクションに行っても仕事ができない。だから新卒・中途採用をしたらまず営業を経験したうえで適正を見ます。経理などもともと専門知識が必要な部門の一部を除いて、今の管理部門のキーマンもほとんど営業から異動してきています。

100名を超える社員のうち70名くらいが営業。しかも若いメンバーが多い。社長としての僕しか知らないという人たちからすると当然「話しづらいよね」という感じはあるし、それを寂しいと感じた時期もありますが、最近はそれを受け止めつつ、なるべく話をするようにしています。

なにげない会話のリアクションで「この子はこういう子なんだな」っていうのを知る、僕のことも知ってもらう、というようにしているんです。

求めるのは「これをやりたい」と言ってくる人

意欲がある学生にチャレンジさせてみたいことは?

山下社長

これをさせたい、ということはないけど、チャレンジしようという子が減ってるなとは感じています。多分、両極端なんですよ。すごいチャレンジング、起業しようというのがその最たるものですがそういう人たちと、とりあえず仕事しないと生活できないから、という人と。真ん中がいなくなったんじゃないかな、というのがイメージとしてあります。

チャレンジしたいという人にはどういうことをさせたいですか?

山下社長

そういう人には逆に、何をしたいのかどんどん言ってほしい。正直、僕の考えていることなんて古いんです。そういうことをやっている時間はない。若い人たちがやりたい、チャレンジしたいと思うことをどんどんやっていかないといけないとダメなんじゃないかと。でも、成功の確率が低いからという理由で僕らみたいな古い人間が芽を摘んでしまっているということが、どこかの段階で絶対に起こっているはずなんです。

当然、予算もありますから全部やりなさいというわけにはいかない。アイデアに対して精査をして、助言やアドバイスをしていくわけですが、プレゼンしてもらって面白そうだと思えるなら基本はGOなので、挑戦したいならどんどんアピールしてほしい。チャンスなんて待っていても来ませんよ。

それはそうですね。

山下社長

会社によっては「新規事業のアイデア募集」みたいな企画をするところもあるけど、僕はそんなことをしなくても「これをやりたい!」と言ってきてほしいし、そういう人と仕事をしたい。それを聞いてもらえないようなら、そんな会社は辞めた方がいい。 自分が働いている会社で自分のやりたいことを実現できない、やるには器が小さすぎる、学びたいことを学べないというのであれば出たらいいんです。人事からは怒られるかもしれないけど、僕はそういうスタンスです。

なるほど。起業したい、何かやりたいけど何をやっていいか分からない僕にとってはこの「CEOmake」のプロジェクトはとてもありがたいんです。トライする場を与えてくれるからです。でも、近い将来、やりたいことをもっと具体的にして自分からプレゼンできるようになりたいと思います。今日はどうもありがとうございました。


山下吾一社長
社長プロフィール

株式会社ニッソーネット  山下吾一社長

福祉に特化した人材サービス+教育研修のパイオニアであるニッソーネット。その2代目として、「信頼」「差別化」「チャレンジ」の3つの要素を高いレベルで永続的に維持できる強い組織と仕組みづくりに取り組んでいる。

インタビュアー
インタビュアー

早稲田 遊さん(立命館大学 4年)

中国で7年間を過ごした後、日本の高校・大学へ進学。VRを福祉に生かす事業で起業するのが夢。